日本国内の再生可能エネルギー業界における運用資産総額(AUM)の現状と動向

了解しました。日本国内の再生可能エネルギー業界における運用資産総額(AUM)に関するレポートを作成します。RSアセットマネジメントの情報を中心に、大手再エネファンドの動向も含め、太陽光・風力など投資分野別の分析を交えた業界分析トーンで執筆します。

内容がまとまり次第、ご報告いたします。

日本国内の再生可能エネルギー業界における運用資産総額(AUM)の現状と動向

日本の再生可能エネルギー分野は、ここ数年で投資対象として急速に存在感を高めており、その運用資産総額(Assets Under Management, AUM)は年々拡大しています。太陽光や風力といった発電所を「資産」としてファンド等で保有・運用する動きが広がり、2020年時点で国内インフラファンド市場の資産規模は1.3~1.8兆円程度に達しました (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~)。その後も市場は拡大を続け、2022年3月末時点では約1.9~2.5兆円にまで増加しています (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。こうした成長の背景には、固定価格買取制度(FIT)による安定収益を追求した投資が活発化したことや、政府の再生エネルギー推進目標、そして国内外の投資家からの関心の高まりがあります。本記事では、日本の再生可能エネルギー業界におけるAUMの内訳や成長傾向、主要プレイヤーの戦略、業界全体のトレンドや市場拡大要因、政策・規制動向の影響、さらに投資家の動向について、最新の情報を踏まえて分かりやすく解説します。

投資対象別のAUM内訳と成長傾向

日本の再生可能エネルギー投資においては、太陽光発電が圧倒的な割合を占めているのが特徴です。固定価格買取制度(FIT)が2012年に導入されて以降、新たに運転開始した再エネ設備のうち約88%が太陽光発電となっており (【2024年版速報】 日本における発電の割合は?再エネ発電の現状と …)、投資資産の構成も太陽光が大部分を占めます。実際、2021年時点でインフラファンドが保有する資産の80%以上がFITによる太陽光発電設備でした (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。このように太陽光偏重の構成となったのは、比較的短期間で設置可能で安定した収益が見込める太陽光発電所に資金が集中したためです。

一方、風力発電への投資割合はまだ小さいものの、徐々に存在感を高めつつあります。特に陸上風力は開発に時間を要する許認可プロセスなどの課題から導入が遅れていましたが、近年は環境アセスメント手続きの改善なども進み、新規案件の開発が増えています。実際、上場インフラファンドの中にはポートフォリオに風力発電所を組み入れ始めた例もあります(例:ジャパン・インフラファンド投資法人は20MW規模の風力発電所を1案件組入れ) (上場インフラファンドレポート2023年12月末基準)。さらに政府主導で進む大規模洋上風力発電の入札・開発も、今後の風力資産の大幅な増加につながると期待されています。多数の洋上風力プロジェクトが準備段階にあり、政策の後押し次第ではインフラファンド市場規模が一段と拡大する可能性があるとも指摘されています (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~)。

バイオマス発電や小水力発電といった他の再生エネ技術は、太陽光・風力に比べると投資対象としての比率は低位に留まっています。バイオマス発電所は大型のものでも数十MW規模であり、燃料調達リスク等もあるためファンドでの保有事例は限られますが、一部の資産運用会社では小規模バイオマス(バイオガス発電等)にも取り組み始めています。小水力発電も地域密着型の小規模ファンドなどで投資対象になるケースがあるものの、市場全体から見るとごくわずかです。ただし、こうした分野も再エネ導入拡大の一翼として注目が高まっており、地域の再エネ事業として金融機関が融資や出資を行う動きも出ています。

全体として、日本の再エネ資産のAUM構成は**「太陽光一強、その他はこれから」という状況です。今後は陸上・洋上の風力発電が本格稼働し始める2020年代後半以降に、風力の占める割合が大きく伸びる可能性があります。また、既存の太陽光偏重のポートフォリオも、発電量変動リスクの分散のため風力・バイオマス・水力などへの多様化**が図られるでしょう (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~)。現時点では太陽光を中心にAUMが積み上がっているものの、新技術や多様な再エネへの投資拡大により、将来的にはよりバランスの取れた内訳に変化していくと見られます。

日本国内の主要プレイヤー:運用資産規模と戦略の比較

日本の再生可能エネルギー分野には、専門性を持った資産運用会社やインフラファンドが多数参入しており、それぞれ独自の戦略で資産規模を拡大しています。ここでは主要なプレイヤーを取り上げ、その運用資産総額や運用実績、戦略の特徴を比較します。

(運用資産総額(AUM) – アール・エス・アセットマネジメント株式会社) RSアセットマネジメントの運用資産総額(AUM)推移。2019年から2024年にかけて急速に拡大し、2024年末時点で5,140億円に到達した (運用資産総額(AUM) – アール・エス・アセットマネジメント株式会社)。グラフからも近年の著しい成長ぶりが読み取れる。

各プレイヤーの戦略面を見ると、いくつかのパターンが浮かび上がります。独立系運用会社(RS社やRJ社など)は、自ら開発案件を発掘・組成しつつ機関投資家からの資金を引き入れて規模拡大を図る傾向が強く、大企業の子会社化や上場も視野に入れながら成長しています。商社やエネルギー企業系のファンド(丸の内インフラ、JIF、エネクス・インフラなど)は、自社グループの持つ開発案件パイプラインを活用し、成熟した資産をファンドに移管して資金を循環させるモデルを採っています。上場インフラファンド各社は安定収益重視で、開発リスクを負わず稼働済み案件への投資(茶色地投資)に徹する傾向がありますが、その場合でもスポンサー企業が新規開発した案件をいずれパイプラインとして提供することで成長を図ります (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~)。また、電力会社や石油会社といったエネルギー大手は、自社内で再エネ発電所を開発・保有するほか、上述のように専門事業者を買収して取り込む戦略も取っています。JERA(東京電力・中部電力の火力部門合弁)は「2035年度までに再エネ規模を現在の6倍となる2000万kW(20GW)に拡大」という目標を掲げ、大型投資や将来的な再エネ事業IPOの可能性にも言及しています (JERAが再エネ規模6倍目標、「兆円」規模の投資-IPOも視野)。このように各プレイヤーは、自社の強み(資金力、開発力、ネットワークなど)を活かしつつ、安定収益資産の拡大と次の成長分野への布石という二つのバランスを取りながら戦略を描いている点が特徴的です。

業界全体のAUM成長トレンドと市場拡大の要因

日本の再生可能エネルギー業界におけるAUMは、この10年で劇的な成長を遂げてきました。その第一の転機は2012年の固定価格買取制度(FIT)導入です。FIT開始前、日本の再エネ発電は水力を除けばごく限られた規模でしたが、2012年以降は太陽光を中心に膨大な設備投資が行われました。結果、インフラファンド市場という枠組みが本格化する以前から、メガバンクやリース会社による**プロジェクトファイナンス(融資)**を通じて再エネ資産が積み上がっていきました。そして2015~2016年頃になると、そうした再エネ発電所をパッケージ化して投資家に提供するインフラファンドが相次いで登場し、市場が形成されました。

市場規模の推移を具体的な数字で見ると、2018年3月末時点で約1兆円強だったインフラファンド資産残高が、2019年には1.2~1.7兆円規模2020年3月末で1.3~1.8兆円2021年3月末には1.8~2.3兆円と拡大してきました (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~) (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2021年3月 ~調査結果~)。特に2020年から2021年にかけては、上場ファンドの増資や新規案件の取得、未上場の私募ファンドの台頭もあって約5,000億円もの資産積増しがあったと推計されます (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2021年3月 ~調査結果~)(同期間に上場ファンドだけで約3,800億円の増加 (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~))。しかし2021年から2022年にかけての成長は約376億円の純増に留まり (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)、伸び率は鈍化しました。これは、FITによる大量導入のピークが過ぎ、取り得る案件が減少したことや、市場環境の変化で新規ファンド組成が一服したことが要因と考えられます。それでも2022年時点での市場規模1.9~2.5兆円は5年前と比べ倍増以上であり、日本の再エネ資産が着実に投資対象として定着したことを物語っています (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。

市場拡大を支えてきた要因として、以下のポイントが挙げられます。

  • 政策的後押しと目標設定: FIT制度のみならず、政府は長期目標として「2030年度に再生可能エネルギー比率36~38%」 (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)(2021年策定、従来目標を大幅上方修正)や「2050年カーボンニュートラル」の目標を掲げました。こうした明確な目標は民間の投資意欲を高め、市場拡大の原動力となっています。
  • 安定した収益モデル: FITに代表されるように、長期固定価格で電力を買い取る仕組みは発電事業者・投資家に20年程度の安定収入を保証しました。その結果、再エネ発電所は長期債に似た安定資産として評価され、大規模な資金調達が可能になりました。実際、上場インフラファンド各社が毎期安定配当を維持できているのも、FITにもとづく売電収入が堅調だからこそです (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。
  • 低金利環境: 日本銀行の金融緩和策による超低金利が続いたことで、投資マネーは少しでも利回りの高い運用先を求めました。インフラファンドや再エネプロジェクトへの出資・融資は、5~7%程度の利回りが期待できる比較的魅力的な選択肢となり、大手機関投資家から地域金融機関まで幅広い資金が再エネ分野に流入しました。
  • 技術コストの低下: 太陽光パネルや風力タービンの価格が年々下がり、発電コスト(LCOE)が低下したことも重要です。特に太陽光は初期の設備費用が大幅に低減し、補助金なしでも採算が合う案件が増えてきました。これによりFIT終了後も企業の自家消費型やPPAモデルでの太陽光投資が続き、ファンドが扱う資産もFIT案件一辺倒から徐々に幅が広がっています。
  • セカンダリーマーケットの活性化: 再エネ発電所の売買市場が形成され、開発業者が完成させた発電所を運用ファンドに売却する動きが一般化しました。開発事業者にとっては売却益を次の開発に回せるメリットがあり、ファンド側は運用資産を迅速に拡大できます。RSアセットマネジメントが大型案件のセカンダリー取得を積極化しているのもその例です (運用資産総額(AUM) – アール・エス・アセットマネジメント株式会社)。このように一次取得と二次取引の循環が生まれたことが、市場全体のボリューム拡大を下支えしています。
  • 新分野への期待: 洋上風力発電や大規模蓄電池、水素関連インフラなど、将来的に巨大市場となり得る新分野への期待も投資マインドを刺激しています。洋上風力に関しては既に政府による公募入札制度がスタートし、今後約10GW以上の容量が2030年までに発電開始する見通しです。これらは一件あたり数百~数千億円規模のプロジェクトであり、完成すればインフラファンド市場に新たな資産クラスとして組み込まれる可能性があります (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~)。こうした将来の成長機会が見込まれること自体が、現在の市場拡大を正当化する追い風となっています。

総じて、日本の再エネ業界のAUMは**「政策ドリブンの急成長」から「次のフェーズへの模索」**へ移行しつつあります。FITによる爆発的な伸びを経て、今後は市場環境の変化に合わせた新しい投資モデルの確立が求められていますが、それでも中長期的な成長ポテンシャルは大きく、市場参加者の数も2021年時点で未上場を含め30社以上に上っています (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2021年3月 ~調査結果~)。これは裏を返せば競争の激化も意味しますが、同時に様々な創意工夫による市場の深化が期待できる段階に来ていると言えるでしょう。

政策・規制動向がAUMに与える影響

再生可能エネルギー業界の発展は、政策や規制の影響を強く受けます。日本においても、これまでのAUM拡大の軌跡は政策動向と軌を一にしていますし、今後の成長シナリオも政府の方針次第で大きく左右されます。ここでは主な政策・規制上のトピックと、それがAUMに及ぼす影響を考察します。

  • 固定価格買取制度(FIT)の導入と見直し: 前述のとおり2012年のFIT導入は市場拡大の起爆剤となりました。太陽光を中心に膨大な設備認定がなされ、投資ブームが起きたことでAUMも急拡大しました (【2024年版速報】 日本における発電の割合は?再エネ発電の現状と …)。しかし、その後FITの買い取り価格は毎年引き下げられ、2017年頃からは一定規模以上の太陽光について入札制へ移行しました。これにより、新規案件の収益性は徐々に低下し、開発ペースも減速しています。FITバブル期に比べると、最近のファンド組成数や取得資産数が伸び悩んでいる一因は、FITが当初ほど高利回りを生まなくなったことにあります。ただし一方で、FIT期間終了(運転開始から20年経過)後の市場設計なども議論され始めており、既存資産のその後の扱いによってはファンドの運用期間延長や収益多様化につながる可能性もあります。
  • 出力制御(カーテイルメント)の拡大: 再生エネ導入量が増えた地域では、需要低迷時に太陽光・風力の発電出力を抑制する「出力制御」が実施されています。特に九州電力エリアでは太陽光の出力制御が常態化しつつあり、他地域でもルール整備が進みました。2021年には出力制御ルールが拡張され、北海道や東北などでも再エネ電源への影響が懸念されています (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics) (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。この出力制御は発電量=収入の減少を意味するため、ファンドにとっては収益変動リスクとなります。実際、先述のRJIFやTLIFが上場維持を断念した理由の一つに「再エネの出力制御拡大による先行き不透明感」が挙げられました (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。今後、大量導入が見込まれる洋上風力でも出力制御の問題は避けて通れず、政府は送電網増強や蓄電池併設など対策を進めています。投資家側から見ると、こうした制御リスクに対してはシナリオ分析や発電予測の高度化で織り込む必要があり、必要以上に悲観せず適切にリスクプレミアムを設定できるかが問われています。
  • インセンティブ・税制: 政府はインフラファンド市場活性化のため、税制上の優遇措置も講じてきました。例えば上場インフラファンドには一定要件のもと投資法人税の免除(J-REITと同様のみなし配当課税)が認められています。また、再エネ設備への固定資産税軽減措置など間接的な優遇もあります。ただ一部措置は期限付きであり、延長の可否が不透明な点が市場に影を落としています (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。仮に税優遇が縮小すればファンドの配当原資が減少し得るため、投資妙味に影響しかねません。政府には引き続き民間投資を促す観点から、税制面での後押しを期待する声が業界から上がっています。
  • 規制緩和と手続き効率化: 再エネプロジェクトの立ち上げには各種許認可や調整が必要ですが、これらの手続きの効率化も業界の重要課題です。政府は再生エネの導入加速に向け、環境アセスメントの簡素化・迅速化や、電力系統への接続ルールの改善(ノンファーム型接続の拡大など)を進めています。こうした規制緩和によって開発リードタイムが短縮されれば、結果的に投資回収期間も短くなるためプロジェクトの収益性が向上し、ひいてはAUM成長にプラスとなります。また近年では企業が自ら再エネ発電所を持つケース(自己託送やオンサイトPPA)が増えていますが、その際の規制(例:電気事業法上の発電事業者登録要件緩和など)が緩和されれば、さらに多様な形態の再エネ資産が市場に出てくるでしょう。
  • 長期目標と政策一貫性: 政策の安定性も投資家にとって重要です。日本は2050年カーボンニュートラルという長期目標を打ち出し、2030年の電源構成目標も再エネ36-38% (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)と明確化しました。このような長期ビジョンの提示は、市場参加者に将来予見性を与え、安心して資本投入できる環境を整えます。一方で、制度設計の詳細が煮詰まっていない部分(例えば非FIT時代の価格形成、市場連動型支援策、カーボンプライシングの水準など)も残っており、今後の政策具体化のプロセス次第では投資マインドに影響を及ぼすでしょう。たとえば政府が再エネ比率目標をさらに引き上げたり強力な脱炭素政策を導入すれば、市場規模は想定以上に伸びる可能性があります。逆に、政策にブレが生じたり、電力市場改革が停滞して収益見通しが不透明になると、投資マネーが他国に流れてしまうリスクもあります。

このように政策・規制動向と再エネ業界のAUMは切っても切れない関係にあります。幸い、日本政府は再生可能エネルギーの拡大方針を明確に示しており (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)、インフラ投資市場の持続的成長に向けても関係省庁が制度整備を進めています (日本のインフラファンド投資市場規模調査 2020年3月 ~調査結果~)。市場側としては、政策の変化に柔軟に適応しつつ、民間の創意でリスクを管理・低減し、安定した運用実績を積み上げる努力が求められるでしょう。

投資家動向:国内外機関投資家・地域金融機関の関心と変化

再生可能エネルギー資産への投資主体は、この10年で大きく広がりました。当初は専業の開発事業者や一部の投資ファンドに限られていたものが、現在では都市銀行、保険会社、年金基金、地域金融機関、さらには海外の投資家に至るまで、多様なプレイヤーが再エネ分野に資金を拠出しています。その背景には、ESG投資ブームや低金利環境、そして再エネ事業の実績蓄積による「安全資産」としての認知向上があります。以下、主な投資家カテゴリーごとに動向を整理します。

  • 国内メガバンク・信託銀行: 三菱UFJ、三井住友、みずほといったメガバンクは早くから再エネ案件のプロジェクトファイナンス融資に注力し、多数のメガソーラーに融資を行ってきました。近年では融資だけでなくファンド組成による自己資金投資にも乗り出しています。例えばMUFGは2021年に約300億円規模の再エネ投資ファンドを立ち上げ、約700億円の協調融資と合わせ総額1,000億円規模の投融資プログラムを発表しました (MUFG、再エネ市場を拡大、ファンド通じ発電事業 | ニッキンONLINE)。三井住友信託銀行系のリサーチでは国内インフラファンドにおける信託銀の役割や市場動向分析が行われ、同銀行自身も複数のファンドに出資・スポンサー参画しています (上場インフラファンドレポート2023年12月末基準)。このように大手金融機関は、融資・出資両面から再エネAUM拡大を支える存在です。また信託銀行は年金・投信マネーの受け皿としてインフラ債権やファンドを組成し、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的マネーの運用にも関与しています。
  • 保険会社・年金基金: 国内の生命保険会社や年金基金も、以前は国債中心だった資産運用において、オルタナティブ投資としてインフラ資産への関心を高めています。低金利で国債利回りがほぼゼロとなる中、インフラファンドの安定利回りは貴重な収益源となり得ます。例えば明治安田生命は2022年に「TMニッポン再生可能エネルギーファンド」という国内再エネファンドに約10億円を出資しました ()。また、世界最大級の年金基金であるGPIFもインフラ資産への投資枠を設け、国内外の再エネ事業に間接的に資金を振り向けています。GPIFはカナダの年金と共同で海外のインフラファンドに投資したり、国内ではDBJ(日本政策投資銀行)や民間運用会社を通じたインフラ投資プログラムを活用したりしています。保険・年金勢に共通するのは、長期安定運用を志向する点であり、20年スパンでキャッシュフローを生む再エネ発電所はまさに適した資産と言えます。もっとも、巨額の運用資産を持つ彼らにとって国内市場はまだ小さいため、本格的な資金流入はこれからですが、ESG重視の流れもあり確実に存在感を増しています。
  • 地域金融機関(地銀・信金など): 地域に根差す金融機関は、地元のメガソーラーや風力発電事業への融資を通じて再エネ推進に寄与してきました。FIT初期には、地域銀行や信用金庫が地元企業の太陽光発電事業に積極的に融資を行い、預貸率改善と地域振興を両立させた例が各地にあります。また、複数の地銀が共同で再エネファンドを組成し、自ら出資者(LP)となって地域の案件に投資する動きもみられます。例えば九州のある地域銀行では、管内のバイオマス発電プロジェクトに自己資金を出資して経営参画するとともに、金融ノウハウを提供して事業安定化を図ったケースがあります。また自治体・地元企業と協調し地域新電力会社を設立して再エネ発電所を運営するなど、新しい試みに挑戦する金融機関も出てきました。このように地銀・信金は地域密着の強みを活かし、小規模でも堅実な再エネ投資案件を掘り起こす役割を果たしています。今後、地域創生SDGsの文脈で地方の再エネ事業が注目される中、地域金融機関の果たす役割は一段と大きくなるでしょう。
  • 海外機関投資家・事業会社: 日本の再エネ市場はその安定性から、海外勢にとっても魅力的な投資先となっています。既に触れたようにGICやゴールドマン・サックス、マッコーリー、BlackRockといった海外勢が日本企業やファンドに出資したり、資産を取得したりする動きがあります。欧州の大手再エネ事業者(例えばデンマークのオーステッド社やフランスのEDFリニューアブルなど)は日本企業と合弁で洋上風力プロジェクトに参画しており、これらは将来的にグローバルマネーが日本のインフラ市場に流入する経路となり得ます。また海外投資家にとって、日本は政治的リスクが低く法制度も安定している点で投資ハードルが低いため、長期資金の受け皿として期待されています。ただし一方で、リターン水準が欧米や新興国に比べて低い(FIT案件のIRRは5%前後)との指摘もあり、為替リスクも含め慎重に見極める動きもあります。実際、上場インフラファンド市場では流動性の低さから海外機関投資家の参加は限定的でした (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。しかし、非上場の大型案件では海外勢の存在感が増しており、特に洋上風力のように巨額の資本を要するプロジェクトでは海外の年金基金・投資会社との協調投資が不可欠となるでしょう。
  • 個人投資家: 個人マネーの動向も見逃せません。日本の個人金融資産は約2,000兆円に上りますが、その運用先として再エネインフラが認知されるようになってきました。上場インフラファンドは当初から個人投資家を主要なターゲットとして設計されており、実際の投資主構成も個人が大半を占めます (Infralogic Insights: Japan’s listed infra fund model stumbles – ION Analytics)。多くの個人にとって発電所は馴染みの薄い資産でしたが、「社会貢献しながら安定配当が得られる商品」としてインフラファンドが広報されたことで、新たな投資対象として受け入れられています。また近年はインターネットを通じた再エネ事業のクラウドファンディングも活況で、太陽光や風力の小規模案件に一口数万円から投資できるプラットフォームが人気を集めています。こうした個人マネーの流入は金額こそ一件あたり小さいものの、裾野を広げる意味で業界にとってプラスと言えます。将来的にNISA拡充などで個人マネーが動きやすくなれば、再エネファンドへの資金流入も増加する可能性があります。

このように投資家層は多元化・拡大しつつあり、それぞれのニーズに応じた商品設計や情報開示が求められています。機関投資家はESGやSDGsの達成に資するかを重視し、長期安定性を求めます。地域金融は地元経済への波及やリスクの低さを重視します。海外勢は透明性や規制リスクの低さを評価します。個人はわかりやすさや共感(グリーンであること)を重視するでしょう。再エネ業界では、こうした様々な投資家の視点を踏まえつつ、確かな運用実績と魅力的な商品性を示していくことが、さらなるAUM拡大の鍵となります。


まとめ:日本の再生可能エネルギー業界における運用資産総額(AUM)は、政策に支えられて飛躍的な成長を遂げ、現在では数兆円規模の市場にまで拡大しています。投資対象別には太陽光発電が中心ですが、風力やその他の再エネも徐々に存在感を増しています。主要なプレイヤーとしては、独立系の資産運用会社(例:RSアセットマネジメント (運用資産総額(AUM) – アール・エス・アセットマネジメント株式会社))や上場インフラファンド各社、大手商社・エネルギー企業系列のファンドなどがしのぎを削り、それぞれの強みを活かした戦略で運用資産を積み上げています。業界全体のトレンドとして、FITによる安定収益を土台に市場が形成・成長しましたが、今後は新たな制度設計や技術革新の中で次の成長曲線を描く段階に入っています。政策・規制面では引き続き政府の目標や制度が大きな影響を与えるため、安定した政策運営と民間の創意工夫によるリスク対応が重要です。投資家側の顔ぶれも多様化し、国内外の機関投資家から地域金融機関、個人まで幅広い資金が再エネ資産に向かっています。それぞれの投資家ニーズに応えつつ、再生可能エネルギー産業として持続可能な発展を遂げることで、日本のグリーンエネルギー転換と経済成長の双方に寄与していくことが期待されます。

参考資料

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